この度、三代吉田蓑助師が引退されました。コロナ禍のなか、ニュースを聞いた時は衝撃でありました。当方が、文楽を見始めた頃には舞台で華やぐ光り輝く存在でした。今まで本当にお疲れ様でした。とともにその芸と同時代を過ごさせていただいたことに心から感謝申し上げます。30年も前の本ですが、改めて「頭巾かぶって五十年」で師匠の生きざまを読み返しました。あとがきにあった「文楽の人形は、大の男が長い修行の末、三人もかかって遣います。・・・より美しく、より効果的に、・・・最終的にはより感動的でなければ、三人もかかる意味がありません。」という言葉に果てしない修行の道というものを感じました。今後のますますのご健康とご多幸をお祈りいたします。
さて今回の特集は、七代豊竹駒太夫と六代鶴澤才治との「傾城阿波の鳴門」の音源を紹介しました。大正期の旧録音のため音質が悪いですが、美声家の駒太夫をうかがい知れます。仕事が忙しくなり更新がペースダウンしていますが、今後とも宜しくお願いいたします。
2021.6.5 大枝山人