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上演番付 いなり彦六座 明治十八年十一月 紋下:竹本住太夫、豊澤団平、吉田才治 日蓮聖人御法海

                   


特集43 編集後記

       
 色々と自然災害が続く事となりました。このところの不順な天候は体にもこたえます。被災された方々には、心からお見舞いを申し上げます。

 そんな最中、文楽界の宝の一人である文楽三味線・七代鶴澤寛治師が逝去しました。御冥福をお祈りします。寛治師は、昭和・平成と活躍され、平成を代表する三味線弾きでした。また師匠である六代寛治師を介して彦六系の芸の継承者でもありました。本公演や素浄瑠璃の会で、度々三味線を聞かせていただくと共に、そこに音源でのみ知り得るニ代新左衛門や四代仙糸の明治・大正の舞台を思い巡らすこともありました。

 近代義太夫の黎明期である明治の人形浄瑠璃に輝きを放った彦六座。そして近代期で最も偉大な文楽三味線・二代豊澤団平とその一派が写実的で粋な遊びのある演奏様式(彦六系)を作り上げました。芸系の伝承は気になりますが、直接的な教授を尊重されていたようなので、教えを受けた若い方々が来るべき未来に大成されることを切に願っています。

2018. 9. 22 大枝山人