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英語版絵葉書 義経千本桜の舞台、その他人形など 1929年11月3日発行

                   


特集37 編集後記

            
 早いもので、今年の前半が過ぎたが、熊本の地震では、人の力など及ばない圧倒的な自然災害を前にして、またしても無力感を味わった。以前、旧友に熊本城や絶景の城の姿が望める市内各所スポットを案内されたことがあった。そこでは、華やかな結婚写真の前撮り中の男女、空堀で遊ぶ学校帰りの高校生、散歩を楽しむお年寄りを見かけた。人々にとって、城の姿が毎日の生活の中で当たり前の存在であることがよくわかった。街に心の拠り所があることは、本当に羨ましいと思ったものである。震災後、生活の様子を尋ねると、友人は、焦らず急がず少しずつです。少しずつです。お城の事も。と繰り返し言っていた。斬新な手法も有るのかもしれないが、何事も少しずつ地道に進むしかない。改めてそう思った。街が元の風景を取り戻すことをお祈りする。

 いつも、特集におつき合いいただき有り難うございます。引き続き、五代錣太夫と二代新左衛門の世話物それに文楽座若手連の音源を取り上げました。新左衛門師の三味線が魅力的です。若手は昔も今も活気があります。最近の若手も健闘していて期待大です。それから、現在の音源再生には、Quicktimeのプラグインソフトを利用していますが、近年OSやブラウザにてプラグイン対応が変更されました。そのため音源再生が、対応しなくなってきたものもあります。今後、対応を考えたいと思っています。試験的に、一部プログラムを修正したものを設置しています。御意見・御助言など頂ければ有り難いです。

 また、この上半期で、「名人のおもかげ資料」のテキスト化を完了しました。所々、記録違いと思われる箇所もありましたが、原文に忠実に電子版にしました。2013年10月から足掛け3年かかりました。途中、目の具合が悪くなり追加更新がペースダウンしましたが、今月上旬に義太夫関連の手持ちのものすべて、黎明期資料室・アーカイブズへUPを終えています。さらに専門外ですが、娘義太夫の分も含めました。今後の参考になれば、幸いです。次回の特集は、「名人のおもかげ資料」の音源補足を中心に企画を検討中です。今後とも、宜しくお願い致します。

2016. 6. 29 大枝山人