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上演番付 いなり東小家 慶應元年三月(西暦1865) 紋下:竹本染太夫 仮名手本忠臣蔵  二代竹本越路太夫(のちの摂津大掾)文楽座初出勤

                   


特集45 編集後記

 年が明けてから慌ただしい日々が続いていたが、連休のおかげで改元はのんびりと自宅で迎えた。報道を見る限り平成になった時とは異なり世間は新時代を明るく受け止めているようだ。若い人の様子からも祝賀ムードを感じる。事前に皇位継承や元号に関するわかりやすい解説を耳にする機会が多く、受け入れやすかったのだろう。さらに歴史的瞬間に立ち会っているという実感も伴っている。

 最近、縁があって親戚が文楽劇場に出かけるようになった。ようやく当方の出番かとしゃしゃり出たが、なかなか遠方から老体鞭打って頻繁に上阪とまではいかないらしい。若い世代も一緒であれば何かと心強いが、若い人には伝統芸能というものはなかなか敷居が高いようである。

 新時代に移り変わる時を経験し、東京オリンピックや大阪万博開催に向けて、日本らしさというものを再考する機運にあるとき、伝統芸能の世界でも若い観客を呼び込む良いタイミングとなるのだろう。新しいアピールの仕方もあるだろう。この際、あまり難しいことは言うまい。

 毎度おつき合いいただき有り難うございます。特集では、七代竹本源太夫 四代豊澤仙糸の追加音源を取り上げました。状態の良い盤が入手できましたので、源太夫の声と仙糸の美音を十分楽しめると思います。次回の特集も考えております。今後とも、宜しくお願い致します。

2019. 5. 6 大枝山人